下足箱 | 椎名啓二さんの家具

リバーパレスの現場には、エントランスホールに新しく椎名啓二さんの家具が2つ入った。写真は風除室に取り付けられた下足箱。穴あきのデザインは、以前入ったはす向かいにある受付カウンターとの共通項となっている。下足箱に空けられた楕円の開口部からは、内部に仕込まれた照明器具からの光が漏れて行燈のようだ。天板は椎名さんから、予算に納めるからクルミの無垢で作ってみたいという申し出があり、積層合板から仕上げが変わった。下足箱
下足箱側面
左サイドのディテール。張り出した穴あきの木板は、傘立て。側面に張り付いた黒い潜在はスチールのフラットバーの鍛造品。天板の出隅は刳り取られるように面取りがされている。
 
 
 
 
 
 
下足箱内部
扉を開けたところ、上・下段の棚板が真ん中が凹むような造りとなっている。スリッパが取り出しやすいようにという配慮かとは思うが、スリッパの下を触って引き出す気にもなれず、もう椎名さんの趣味としか説明がつかない世界なのかもしれない。この下駄箱も他の家具と同様、細部まで椎名さんの魂が入り込んでいる。
 
 
 

設計施工だからできること

椎名さんは自分で図面をかき、自分で家具を組み立てる。家具の組み立ての日は、夜7時搬入の約束だったが、9時半に到着。翌朝の4時半まで設置に時間をかけていたと、リバーパレスの副施設長から聞いた。それは設置に手間取っているというよりか、最後までの入念な微調整や塗り直しなどのこだわりの結果のようだったとも聞いた。
椎名さんにとっては当たり前のことだろうし、失礼な言い方とはなってしまうが、やはり家具屋さんの取り組み方とはまったく違う。売り物としてではなく自分の作品として取り組んでいる。
僕たち、建築設計者が実際に手を動かして作り上げることができるのは、図面までで、実際に手を加えるのは人任せにせざるをえない。
椎名さんは出来上がる寸前まで、細部まで手を加えることができる。それがいくつもの不可思議でかわいらしいディテールとしてあらわれる。これは大きな違いだと思った。