回遊性があるキッチン

2023年7月に自分達の住まいが完成して住み始めています。自宅のキッチンを作る時に考えたのは、自分もキッチンを使うので、複数の人間が同時に使えるキッチンにしたいということでした。

色々と検討した上でキッチンはI型のアイランドキッチンとL型のバックカウンターを組み合わせ、回遊性があるキッチンとすることにしました。冷蔵庫をバックカウンターでなくあえてアイランドキッチンの一部の中に収めることにしています。そうすることでダイニング側からバックカウンターの一部が見えにくくなります。そのスペースにキッチン家電をおいたり、物を置いたりしてパントリー的な使い方をすれば使いやすいキッチンなるのではないかと考えました。冷蔵庫を収めた箱には間接照明を仕込み、高い天井を照らし上げています。

アイランドキッチンは奥行き1Mとしました。ダイニング側に収納を設けて普段使いの食器を納めたいと考え寸法を決めたところ、この大きさとなりました。

キッチンは少し大きめとしています。その一つの理由は吊戸棚を作りたくなかったからです。私の妻が手が届くのは1.9mまでで、吊戸棚の上の方まで手が届きません。吊戸棚無しで収納量を確保しようと考えたことが大きめのキッチンとなった一つの理由です。

キッチンは大きさや基本的な構成が決まった後は、オーダーキッチンメーカー「モービリティーポ」の徳永さんにお願いすることにしました。

天板はステンレスのバイブレーション仕上げの曲げ板。樹脂が好きでないので人工大理石は使いませんでした。見つけを10ミリとすることでシャープな印象のキッチンとなりました。4ミリぐらいのステンレスの厚板を使うのが理想なのですが、コストを考えこの仕様としました。

キッチンの色はグレーとしました。当初私の予定では白いキッチンでしたが、汚れが目立つので白以外としたいという妻の意見が出ました。壁を白とグレーで塗りかけていることもあり、グレーのキッチンとしました。これをきっかけにその後購入したダイニングテーブル、ペンダント照明、ソファーもグレーのトーンで統一することになりましたので色決めの決断は大きいです。

徳永さんとの打ち合わせで変わったのは、下台の収納方式です。内引き出しを採用することで、外からの見た目が随分とシンプルになりました。一旦引き出しを開けて、もう一度内引き出しを開けるという煩わしさを懸念していましたが、使ってみると特に問題は感じていません。

コンロはミーレのIHクッキングヒーターとしました。今までガスコンロを使っていたのですが、清掃性を優先して、IHとしました。魚焼き器を取りやめることにしたので、随分とシンプルになりました。ガスより火力は多少落ちる気がしますが、掃除はとてもしやすいです。

コンロ前の壁とキッチンの床にはタイルを使いました。壁はキッチンパネルがよく使われのですが、こちらでも樹脂を使いたくなかったので50角のモザイクタイルを使いました。リクシルのIM-50P1/NY51です。キッチンと揃えグレートしました。適度な色むらがあるのが良いと思っています。

床をタイルにしたことは正解だと思っています。コンロとシンクが離れていることもあり、どうしても床にこぼれてしまうものが多くなります。フローリングよりタイルの方が安心できます。タイルは平田タイルのQTZ-6060-9Tという白いタイル。同じ色で厚みが20ミリあるQTZ-6060-20Tをキッチンから続いて見えるテラスに使っています。

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら