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角倉剛建築設計事務所の考え方

問題解決としてのデザイン

見た目だけの狭い領域で語られるデザインには抵抗があります。

私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。様々な条件を読み取り、その中での最良の解決方法を探し出すことです。もちろんそれは美しさを伴ったものとしたいと思っていますが、問題解決を伴わないデザインにはそれほどの関心はありません。

住宅でいえば、家族の望ましい生活のあり方や、建てる場所での制約、コストの制約などの条件があると思います。 その中でどのような住宅のあり方が望ましいかということを考えるのが、住宅設計の目的であり、デザインです。
私は住宅の設計においては、様々な条件の優先順位を変えていくことで、数多くの案を検討します。自分が作りたい形だからという理由だけで案を決めることはありません。様々な条件を解決することができる、建築として合理的な案が見つかるまで、検討を続けます。

スタイルについて

どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。

性能について

2020年度から戸建住宅の設計において、設計者から建築主へ省エネ性能に関する説明が義務付けられるようになりました。また熊本地震においては、耐震等級3の性能を有した住宅の被害が少なかったことに注目が集まりました。設備や構造では様々なものが数値化され、住宅は性能で語られることが多くなってきました。

設計している住宅の性能を把握して、それを相応しいレベルにコントロールすることは、当然のことと考えています。 しかし、省エネ性能や構造に関する数値などを前面に出しての住宅サプライヤーのプロモーションを見ると、住宅が家電のように扱われているように感じてしまいます。住宅は、もっと豊かなものであるはずで、決して性能だけで語られるものではありません。性能も確保しますが、あくまで多様な住宅の価値のうちの一つと捉えていきたいと思っています

狭小住宅について

「Works」のページを見ていただければわかると思いますが、都心の比較的小さな敷地に建つ住宅(狭小住宅と呼ばれる事が多いです)の設計事例が多いです。
それは、最初の頃に、西新宿YKビルと東・佐藤邸という二つの狭小地での住宅を作ったことがきっかけです。類は友を呼ぶのか、似たような事例を頼まれることが多くなり、いつのまにか、狭小地での住宅が増えてきました。

ハウスメーカーで一度検討をされた方がいらっしゃることも多いです。狭い土地で企画住宅を作ることが難しいこと、思ったよりお金がかかることがわかり、来ていただいた方が何組かいらっしゃいました。限られた土地で豊かな住宅を作るためには、細かな検討の積み重ねが必要で、設計事務所が取り組むべき分野の一つであると捉えています。

ローコストが求められることも多いですが、そこに止まることなく、「デザイン」性が高い良質な設計を行うことを心がけ、取り組んでいます。

福祉施設について

福祉施設にも取り組んでいます。多くの場合大学の同級生である健康設計の井上康さんと共同設計で取り組んでいます。
昔の特別養護老人ホームは、大部屋となった寝室と大食堂、大浴場から作られていました。昨今は限られた人数のグループを一つの単位として、個室とグループ毎のLDKと浴室の組み合わせからなるユニットケアという考えで設計される事が多いです。
そこで求められる、住宅のような居住空間の心地よさに答えることを課題と捉え、福祉施設に取り組んでいます。

また最近の福祉施設は、地域との関わりを重視しているので、近隣に開かれた施設造りを考えることが多くなりました。街づくりに貢献できる機会としても捉え、取り組んで行きたいと思います。