二世帯住宅の床の遮音における独立天井の重要性

コンクリートマンションではある程度の遮音性が保たれていますが、木造住宅で遮音性能を高めるには工夫が必要です。代々木の二世帯住宅では、吉野石膏で紹介されている工法の中で最も遮音性能が高いものを使用することにしています。LHで示される数値が重量床衝撃音遮音性能と呼ばれるもので、子供が部屋で飛び跳ねるなどの、ドシンという音を軽減する性能です。数値が小さいほど優れていることを表しています。またLHの方は軽量床衝撃音遮音性能と呼ばれるもので、比較的軽いものを床に落とした時の、コツンという音を軽減する性能です。
一般的にコンクリートマンションは55程度の性能とされ、木造住宅では、75程度の性能です。この工法で達成される値がLH59、LL54ですから、コンクリートマンションに近い性能は達成されると考えています。
遮音の考え方は三つあるように思われます。一つは重いボードを何層にも重ね、床の重さを重くすること。次に断熱材を敷き込むこと。最後にできるだけ梁と天井の縁を切ることです。最後に述べた梁と天井の縁を切ることがなかなか知られていないことを感じています。
まず構造用合板の上に遮音ボードを2枚貼ります。商品名ではタイガースーパーハードと呼ばれるもので、普通の石膏ボードの二倍の重さがあります。上を歩くと少ししっとりとした感じがして構造用合板の上を歩く感じと大分印象が違います。この上に仕上げとなるフローリングが貼られます。天井側ではグラスウールが敷き込まれます。その上に石膏ボード12.5ミリが2枚貼られます。通常9.5ミリが一枚ですから、天井としては重い方です。

梁と天井の縁を切ることについてです。実際は天井は上から吊るものなので、完全に上部構造から切り離すことはできません。そこを吉野石膏がどのように考えているかを聞いたことがあるのですが、天井を吊る材である吊り木を直接梁に取り付けることをさけるような工法として考えているようです。カタログにはこの後方が独立天井と記載されています。独立天井とすることで、通常の直張り天井よりL値が5〜10程度良くなるようです。現場の大工や現場監督に話したところ、この工法の必要性の認識はなく黙っていれば直張り天井とされるところでした。おそらくあまり今考え方が周知されていないからだと思います。
独立天井で作られた天井下地です。梁に部材を一つ介して吊り木が取り付けられています。

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら