キッチンの作り方_造作家具・オーダーキッチン

キッチンは家具工事として家具屋さんに作ってもらうことを標準仕様として考えています。最近はオープンなキッチンが多くなってきました。LDKのインテリアの中で、キッチンは大きな存在感を持ちます。そのため、他の家具や建具などとの調和を乱さないように、面材や収まりなどに共通性を持たせることを考えてデザインします。

最近できた代々木の二世帯受託の子世帯のキッチン。この家のテーマカラーとなった、赤いフローリングに合わせて面材を作っています。
親世帯のキッチン。このキッチンでは、今まで使っていたバックカウンターを使いたいという希望がありました。キッチンは既存カウンターの色を意識してグレーとしてほしいという要望があり、色決めをしました。

造作家具なので、それなりの費用はかかりますが、キッチンメーカーの高価格帯のキッチンよりは、安く仕上げることができます。

現在設計中の住宅のキッチンです。概算時の比較ですが工務店の家具工事として作った場合が、概ね230万、キッチンメーカーK社で作る場合は、330万でした。(いずれも工務店経費込み、消費税抜き)

使用しているものが全く同じではないので、正確な比較はできませんが、概ねこのような傾向になると思います。ショールームでキッチンを見る場合はどうしても、華やかな仕様が高いものに目が引かれることも一因だと思います。

ただ家具工事の難点は、システムキッチンのような細やかな対応には向いていないことだと思います。
ざっくりしたつくりでいいという人には、システムキッチンより安くできて、周りに合わせることができる、家具工事でのキッチンを進めますが、細かいつくりこみまで望まれる方には、システムキッチンでなくオーダーキッチンを薦めます。

システムキッチンのような主婦目線の細やかさと建築意匠との調和を両立させることができるオーダーキッチンは魅力的です。しかし家具工事よりはコスト高となります。

こちらも現在設計中のキッチンです。概算時の比較ですが工務店の家具工事として作った場合が、概ね256万、オーダーキッチンメーカーで見積もりを取った場合は292万(消費税抜き)でした。オーダーキッチオンメーカーの場合は、分離発注と考えていますので、工務店の経費は、かかっていません。比較的安く抑えてくれそうな、オーダーキッチンメーカーで見積もりをとりましたが、これぐらいの価格差はありました。オーダーキッチンは、一番コストはかかると思います。それでもメーカーの選び方などを工夫すれば、ハイクラスのシステムキッチンより安く作ることができます。

ある物件で、ハイクラスのシステムキッチンをオーダーキッチンで見積もりをとったところ、オーダーキッチンの方が安く出ました。しかしクライアントが選択したのは、システムキッチンでした。理由を聞いたところ、目の前にある商品が手に入るという安心感とのことでした。そういう考えもあるのかと思うと同時に、このクライアントが本当に向いているのは、何ができるかわからない建築家住宅ではなく、仕様があらかじめわかり安心できるハウスメーカーなのではないかと少し複雑な思いを感じました。

あとはコストを抑えるために時々おこなうのは、シンプルなコストパフォーマンスが良いシステムキッチンを選び、造作家具で見えなくする作り方です。

この住宅ではテレビ台と机とカウンターを一体の家具として作っているのですが、カウンターの裏にローコストのシステムキッチンをおさめています。

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら