ウッドショック

ウッドショック
コロナの影響で北米で郊外の一戸建て需要が高まったことなどが原因で、木材価格が高騰し、ものによっては市場に出てこないという状況に現在なっており、ウッドショックと言われています。現在進行中のさまざまな物件でその影響を受けています。

120角の柱が無くなる
現場が始まったある住宅では120角の柱と120幅の梁を構造体として使っていました。2ヶ月ほど前に工務店から105角の柱しか入手できなくなったとの連絡が入りました。木材が足りないので、105角の柱しか作られなくなったようです。急遽構造事務所と協議をして105角の柱への設計変更を行いました。

契約金額からの増額
120角から105角の変更により、使う木材の量は減りました。しかし木材の単価は著しく上がっています。使う木材の量が減ったのにも関わらず、1月14日の360万のプレカット工場の見積もりは460万に値上がりしました。
契約時の請負金額からの増額は認めないつもりでしたが、
民間工事請負契約約款第29条(1)eに「契約期間内に予期することが出来ない経済事情の激変によって、請負代金額が明らかに適切でないと認められる時は請負金額を変更できる」との記載があり、施主側も負担することが妥当であることがわかりました。工事会社からの提案により、材料費の増額分78万の半額の施主負担という話でまとまりつつあります。

米松がなくなる
今度は輸入材である米松(梁の材料です)がなくなったという話がでています。他に使える材料がないかを探してもらっている最中です。(6/11)

米松が見つかるが工期が延長される
なんとか見つけることができたようです。ただし入手のために予定より一ヶ月工期が伸びる見込みになってしまいました。
材料を変えることも考えましたが、強度が違うため構造計算のやり直し設計図書の訂正などを考えると結局同じぐらいの時間がかかる可能性もあり、梁が大きくなり収まらないところがでる可能性もあるので、一ヶ月延長の方向で考えています。(6/13)

プレカット図が確定しないと木材は確保できない
現在この住宅ではプレカット図の確定を急いでいます。工務店側もここまでの状況は初めてらしいのですが、わかってきたことは口頭でのやり取りだけでは木材を完全に確保することは難しいということだそうです。プレカット図で必要な木材の量が確定して初めて材料を確保できるとのことでした。(6/19)

木造23坪2階建て住宅 の4月22日見積もりと6月10日見積の差額
6/10日に本見積もりが出てきた住宅です。4月22日の概算見積もりでは506万だった構造材などのプレカットの見積もりがまったく同じ内容で532万で出てきました。4月の時点で既に値上がりしているようで、先の現場物件ほどのインパクトはありませんでした。木製建具が86万から96万になりました。ラワン合板がなくなっているとの話も聞いており、合板も値上がりしているようです。

ウッドショックの影響を受け着工時期をずらすことになる
この住宅は住み始めの時期を考えれば、今から2年3月以内に竣工していれば良い住宅でしたが、税制の優遇措置の関係で年内竣工を望まれていました。しかしウッドショックの値上がり分が節税金額とほぼ同じで、今後の値上がりを考えると、適切な施工時期がいつなのかの判断が難しくなりました。施主と施工者と設計者でWEBミーティングを開き、ウッドショックの今後の影響とスケジュールについて協議をしました。誰も今後のことはわかりませんが、ひとまず税制の優遇措置は諦め、半年ほど様子を見てみようという結論になっています。(6/19)

木造22坪3階建住宅の4月6日見積もりと6月25日見積の差額
新たな別物件
柱梁などの構造材 4/6見積 77万  6/25見積 110万 33万アップ
間柱などの羽柄材 4/6見積 41万  6/25見積 51万 10万アップ
プレカットの木材は合計43万のコストアップとなりました。36%プレカットの資材は値上がりしました。

工務店からは、下記のような連絡がありました。

プレカットの状況は夏がピークとなる見立てです。ただその後高止まりとなり
来春に落ち着くのではないかと予想が出ています。
月に10%ほど金額がUPしています。(6/30)
ウッドショックの影響で、土台の米栂が不足しており、米松に変更となりました。(8/10)

関連情報→木材不足の中での代々木の二世帯木造二階建て住宅の地鎮祭(4/11_1日目)

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら