旧宅を引き継ぐ親世帯と旧宅の庭を引き継ぐ子世帯からなる二世帯住宅
代々木の二世帯住宅 PART1 吹き抜けとロフトとバルコニーが連なる二世帯住宅
計画地 | 東京都渋谷区代々木 |
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期間 | 2019.10~2021.3(設計) 2021.4~2022.1(工事) |
敷地面積 | 148.77㎡ |
建築面積 | 88.19㎡ |
延床面積 | 162.27㎡ |
規模・構造 | 木造2階建て |
設計・監理 | 角倉剛建築設計事務所 小島大輔構造設計事務所 |
施工 | 江中建設 |
外部仕上げ | 屋根/ガルバリウム鋼板竪平葺き 外壁/スーパー白州そとん壁W スチロコテ仕上げ |
内部仕上げ | 床/フローリング 壁/フェザーフィール(プラネットジャパン) 天井/フェザーフィール(プラネットジャパン)、構造材あらわし、ピーラー |
その他 | 太陽光パネル 写真撮影 吉田誠 |
一戸建ての住宅を取り壊し、敷地の一部で二世帯住宅を作る計画。残りの敷地では「代々木の二世帯住宅 PART2」が計画されている。
このあたりは、庭付きの2階建て立ち並ぶ住宅地であったが、建て替え時には、共同住宅か、あるいは小割とした敷地の中に3階建て戸建住宅を、容積率を活用して目一杯作ることが多く、街並みが変わりつつある。今回も賃貸併用の二世帯住宅として、容積率をできるだけ活用する案も当初は検討したが、建主の意向もあり、容積率に捉われずに、余裕を持った2階建てとして計画した。
旧宅を引継ぐ器としての住宅
長年住まわれてきた旧宅には数多くの思い入れがある家具などがある。1階の親世帯は、それを可能な限り引き受ける器として計画した。8畳の収納は、旧宅の箪笥などを収めるスペースとして考えられている。そのほかは引き戸を開け放つことで回遊性が生まれる空間だが、造作家具をできるだけ避け、旧宅にあった置き家具を活用することにしている。またステンドグラス、ガラス、扉、照明など様々なものを旧宅から引き継いでいる。設置場所を見つけることができなかったアルミの大きなレリーフは、2階の子世帯が引き継いでくれることになった。
庭とテラス
2階の主空間であるLDKには、一層半の階高を与えた。リビング•ダイニングは階高をそのまま生かしたおおらかな空間とした。キッチンの上にはロフトを設け、壁を設けずダイニングと一体の空間とした。リビングとキッチンに挟まれたコーナーにはテラスがある。
旧宅には塀で囲まれプライバシーが保たれた大きな庭があった。、面積こそ敵わないが、テラスはこれを引き継ぐものとして考えようとした。テラスは木製のルーバーの調整で道路からの視線を遮り、大きな開口でリビングとつながりを持つ青天井の部屋のイメージで計画されている。既存の庭の様な広さはとれないが、他の空間への視覚的な広がりをとろうとした。
今日の都市住宅では目一杯のボリュームが求められ、かってのような余裕を持たせた庭付き住宅をつくることは難しい。テラスは庭に代わるものとして、その作り方を考えていく必要があると思う。
1階奥の部屋から道路側を見る。扉と欄間のガラスは旧宅から持ち込んだもの。奥に見える丸いステンドグラスや天井や壁に取り付けられた照明器具も、旧宅から持ち込んだもの。千鳥状に凹凸をつけた天井の意匠は、旧宅の天井意匠のうつし。
階段上にあるレリーフが旧宅からもちこまれたもの。床は赤いピンカドという材種のフローリング。壁は吸湿性のあるフェザーフィール。天井は38*184の梁材を303ピッチでかけわたした構造をそのまま表している。断熱材と通気層は構造用合板の上にある。
断面パース。1階が親世帯、2階が子世帯。子世帯の主空間は一層半の階高を持つ。リビングとダイニングは階高をそのまま使ったおおらかな空間。キッチンの上にはロフトをもうけている。リビングとキッチンに挟まれたスペースを青天井のテラスとしている。