Work deatil

品川の家

2010
個人住宅
この住宅は、間口が狭い同じような敷地に分譲された住宅地の一角に立つ。他の敷地の住宅はセミオーダーの建て売り住宅で、いずれも前面に駐車場を持ち、斜線制限で削り取られた、三角の屋根を伴った、木造3階建て住宅だ。無理矢理作られた、駐車場の中には、規定ギリギリの巾の60センチの耐力壁がいくつも配置され、入りにくい。しかも構造的なバランスが悪い。また、付加価値を付けるためか、最上部にロフトが押し込められ、どうにも全体として窮屈だ。無理なくスマートに木造3階建てとして計画すること、これを設計におけるテーマとしている。増え続ける同じような敷地と構造の組合せに対しての、一般解のひとつとなることを目標としながら。

コストを押さえつつ、駐車場と耐力壁の問題を解決するために、駐車場部分のみをコンクリート造として、計画することとした。必要とされる木造耐力壁より、当該部分が剛性が高いという比較資料等の提出により、混構造でなく、木造3階建てとして、確認申請は通している。

2層目は、主生活空間である、LDKとしている。木造3階建てにおいては、2層目においても、短手方向の構造壁が内部空間に立ち並び、それを隠蔽するかのように、収納が作られることが多々あるのだが、それでは、どうしても間口が狭いインテリアとなってしまう。それを避けるため、通常は採光面として期待される建物両端部を半間を残し耐力壁とすることとした。道路側の半間の開口部は、小さなスペースでフルに開け閉めができるように、既成サッシを一部加工して、片引きサッシとして使うことにしている。それは、同じように作られた3階の窓と共に、結果として外観上の特徴となった。

閉じられた箱の中に光を取り込むため、3階には中庭を設け、大きな台形のフィックス窓から2階に光が注ぎこむようにした。これは、緑を置くスペースを設け、リビングからも楽しめるようにしたいというクライアントの要望を受けた結果でもある。
台形の窓から注ぎこむ光は、吹き抜けの中を、時間の経過と共に日時計のように回り込み、その表情を変えていく。

3階には、廻り階段の廻り段を利用したレベルが違う二つの個室が浮かび上がる。このレベルの違いを利用し、奥の寝室の屋根面を下げ、中庭に南からの光が注ぎこむようにしている。2つの個室は、(中庭への小さな窓を除き)、耐力壁で内側に対して閉ざされる。その閉塞感を無くすために、それぞれに細長いトップライトを設けている。
計画地
:東京都品川区
期間
:2009.11〜2010.6(設計) 2010.7〜2011.12(施工)
敷地面積
:55.75 m2
建築面積
:33.39 m2
延床面積
:92.52 m2
規模・構造
:地上3階・木造一部RC造
設計・監理
:角倉剛建築設計事務所
:山田構造設計事務所
施工
:小川建設
外部仕上げ
:屋根 / ガルバリウム鋼板竪平葺き
:外壁 / ガルバリウム鋼板小波板、RC
:開口部 / アルミサッシ
内部仕上げ
:床 / フローリング
:壁 / 塗装
:天井 / 塗装
その他
:写真撮影 吉田誠
 
外観
敷地の間口は、3.75m、短手のスパンは3.05m。1階前面の駐車場を、RC造とし、それ以外を木造で造っています。外壁はガルバリウム鋼板小波板のシルバー。
 
外観(夜景)
 
通りから
敷地は一斉に販売された、分譲地の一角。右3件が同時に造られた、工務店の設計施工による住宅。
 
吹き抜け
2階リビングからの見上げ。中庭越しの光が、台形はめ殺し窓から入ってきます。
 
リビングより
リビングの天井高は2.85m。奥のダイニングスペースは2.25m。ダイニングの上を中庭としています。
 
リビングより(2)
夜景。もう少しダイニングに迫ったところ。エアコンを収納した家具の裏にL型に回り込むように、キッチンが造られています。
 
ダイニング
1階より螺旋階段を上がり、ダイニング収納を見る。
 
キッチンより
奥手のリビングは、中庭から、南の日差しを受け、明るい空間となります。
 
ダイニングより
リビング左手奥に、道路側へ通じる、小さな片引き窓。
 
中庭
3階子供室より、見た中庭。
 
寝室
主寝室。右手上には、巾12センチの細長いトップライト。
 
寝室(2)
主寝室から、子供室を見る。子供室の床は60センチ高くし、その分リビングの天井を高くしています。
 
中庭(2)
中庭から見る。ガラスが廻りの風景を移しこんでいます。
 
玄関ホール
土間が大きい玄関は、今は自転車置き場として使われています。
 
1階
奥の書斎への廊下は、奥がすぼまり、パースが効いた空間。
 
仕事部屋
奥様が、自宅で仕事をされるための小さな仕事場。窓の下に貼られているのは、コルクシート。
 
洗面室
造作の鏡張りの吊り戸。下はコーリアン一体成形の洗面台。
 
1211トップライト
3階の個室には、細長いトップライトをいれこんでいます
 
1211大窓
吹き抜けに対して三角の大窓が面しています。フィルムの養生が取れると、空が大きく見えることになります。
 
1211外観
片引き窓が2段並ぶ外観です。ファサードデザインが、今回はなかなかしっくりこず、かなり悩みましたが、素っ気ない外観としたことが、結果としてよかったのかなと感じました。
 
1028ガルバリウム鋼板波板
外壁材と、屋根材を今回は、ともにガルバリウムの波板で作ります。コーナーのおさめ方と、壁と屋根の止め付け方をモックアップで確認しています。
 
1016断熱材
上棟後、一ヶ月程度立ちました。壁・天井下地が造られ始め、断熱材が敷き込まれています。ブルーシートの位置が中庭。シートが取れると空が見え、明るくなるのですが。。。
 
0903コンクリート
コンクリート部分ができあがりました。地中に埋もれる部分が多いこと、前面駐車場をコンクリートで造ることで、通常の木造住宅より、コンクリートが占める割合が大きいです。
 
模型写真1
周囲の建物に囲まれ、実際はほとんど意識されないアングルですが、建物は真ん中の中庭をはさみ、フタコブラクダのような形状です。
 
模型写真2
断面をあらわす写真です。
 
模型写真3
反対方向から断面を見たところです。
 
模型写真4
中庭から吹き抜け越しにリビングを見ています
 
模型写真5
ダイニングからリビング方向をみたところ、吹き抜け上の南の窓から光が注ぎ込みます