高崎S邸 群馬県高崎市 ハコの組み合わせで多様な生活空間を生み出した家

「ハコ」の組み合わせで多様な生活空間を作る

プライバシーを収める１階の「ハコ」

伸びやかな風景の中で、ぽつんと建っているような住宅です。「ハコ」の組み合わせで、自立した形態を持つ存在感のある住宅にすることを考えました。

1階には、「大人のハコ」、「子供たちのハコ」、「水場のハコ」という三つのプライベートな性格をもつ「ハコ」があります。ハコは黒い鋼板で仕上げられ、ハコどうしの間は路地のような空間です。路地はそのまま外に伸び、住居へのアプローチや庭のデッキ、坪庭となります。

パブリックな２階の「ハコ」

2階には大きな、シルバー色の「ハコ」が載っています。これは、家族が共有するパブリックな大きな空間です。LDK、和室、坪庭があります。家族の様々な活動を受け入れる包容力のある「ハコ」です。

吹き抜けのエントランスホール

住宅の北側には、北西季節風に対する防風壁が斜めに挿入され、1階南側から2階北側へ抜ける吹抜が作られます。この吹抜は、1階の個室と2階の家族室を結ぶと共に、客人を迎え入れるロビーでもあります。煙突効果によって夏期には換気通風路となり、冬期には2階の大きな居住空間へ暖かい空気を送り込み、自然空調装置としても働いています。

大小様々な「ハコ」の組み合わせが室内外の空間を取り込んで、多様な生活空間を生み出し、クールな印象の外観と心地よい内部空間の両方を獲得しています。

１階の黒い箱の中

１階の黒い箱には個室と水場が入っています。水場の箱の中の真っ白な空間。トイレと二穴の洗面ボールと洗濯機、シャワーコーナと浴槽が収まっています。洗面室と浴室はガラスで仕切られた視覚的に一体の空間です。浴室からは坪庭を眺めることができます。

２階のシルバーの箱の中

２階のシルバーの箱の中のLDK。奥には和室と坪庭があります。左手は黒い箱の上を利用したテラスがあり、広い庭を楽しむことができます。和室とリビングの間の壁上部はガラス張りで天井が奥まで続きます。天井では208材を303ミリピッチで並べた梁があらわしとなっています。ダイニングスペースの真ん中にはパーティーシンクと収納と一緒に作られた大きなダイニングテーブルがあります。