うなぎの寝床状の敷地に建つ三世帯住宅
南北に細長い狭小敷地
敷地は、間口が4.1m奥行き18.3m。南北に長い鰻の寝床のような形状です。
南側には4階建ての建物が建っています。設計の時には、たまたま敷地の東と西が空いていたのですが、将来的に、建物が建つことを想定する必要がある、建物が密集した地域です。(現在は東側の駐車場の位置にマンションが建てられました。)
計画地 | 東京都台東区 |
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期間 | 2011.2~2011.11 2011.12~2012.6 |
敷地面積 | 75.00㎡ |
建築面積 | 50.32㎡ |
延床面積 | 126.80㎡ |
規模・構造 | 地上3階・鉄骨造 |
設計・監理 | 角倉剛建築設計事務所 山田構造設計事務所 |
施工 | 小川建設 |
外部仕上げ | 屋根 / シート防水 外壁 / アスロック等 開口部 / アルミサッシ |
内部仕上げ | 床 /バーチ フローリング、塩ビタイル 壁 / シラス壁、塗装 天井 / シラス壁、塗装 |
その他 | 写真撮影 吉田誠 |
敷地は、間口が4.1m奥行き18.3m。南北に長い鰻の寝床のような形状です。
南側には4階建ての建物が建っています。設計の時には、たまたま敷地の東と西が空いていたのですが、将来的に、建物が建つことを想定する必要がある、建物が密集した地域です。(現在は東側の駐車場の位置にマンションが建てられました。)
この敷地に建つおばあさんとお母さんが住まわれていた住宅を取り壊し、息子さん夫婦とともに暮らす住宅を建てることになりました。
設計においては、お母さん世帯と、息子さん世帯の距離感をどのようにするのかがテーマとなりました。様々な案を検討した結果、ワンルームの住戸として計画したお母さん世帯を下にして、階段を介して斜めに息子さん世帯のリビングが繋がっていく関係が一番望ましいということになりました。
その上に四つのボリュームが、三つの隙間で分けられて配置されています。全体のボリュームとしては、南側にすこしづつスケールダウンさせています。この形を利用して、建物の中に光を取り込むという造り方になっています。
道路側から見ると、建物は1階が開放的なピロティーとなっており、駐車場スペースとして使われています。そしてその奥には玄関ドア。多世帯住宅ですが、玄関は共用で使います。2階と3階のグレーの外壁はアスロック(押出成形セメント板)。耐火性に優れコンクリートのような質感を持つ材料です。
引き戸の玄関扉をあけると細長い玄関があります。右手には高さを抑えた細長い共用の下足箱。少し長い廊下の向こうには、母世帯の部屋があります。この部屋は、南に設けられた小さな庭に面しています。下足箱先の右手扉を開けると、洗面室と浴室があります。
1階母世帯の部屋は天井に特徴があります。2階のトイレ+洗面スペースと個室は分けられ、一つ目の隙間が開けられています。その隙間を通るトンネルのような廊下。普段は閉じられていますが、建具があり、吹き抜けに対して開放することもできます。隙間の上に見えるのはトップライト。南に面した引き違い窓とこのトップライトから光を取り込みます。階段の奥に見えるのは子世帯のリビングルーム。階段を介して斜めに繋がります。建具を閉じることにより、二世帯を仕切ることもできます。
2階から3階への階段はスケルトン階段となっています。二つ目の隙間となっているこのスケルトン階段の上に屋上に出る為の引き違い窓があります。南に面したこの窓から日差しが注ぎ込み、リビングを明るくします。
スケルトン階段の先の廊下の奥は個室となっており、おばあさんがお過ごしになります。廊下の右手にはトイレがあります。1階を見下ろすと、開放された建具の先に母世帯の部屋が見えます。
2階のリビングも天井に特徴があります。3階にある部屋は二つに分けられブリッジで繋がれています。ブリッジはトップライトがある明るい吹き抜けを通るように作られており、その光が2階まで注ぎ込みます。
三つ目の隙間の上に設けられたトップライトです。トップライトからは空が見え、薄く見えているのが、3階寝室の高窓に設けられた高窓。鉄骨造の建物ですが、薄くて軽快なものにする為、ブリッジの床はコンクリートスラブで作りました。
周りを囲われた細長い敷地において、どのようなことをすれば、快適な明るい住環境を作り出すことができるかについての解き方を考えた住宅です。
三世帯住宅,3階建て,鉄骨造,吹き抜け,スケルトン階段