桜新町の跳ねだし住居 細長い狭小地で車を２台とめることがテーマとなった住宅

都内の住宅地の計画。限られた敷地に２台の大型車を駐車するスペースを作りたい。敷地の大きさを考えると１階より２階が大きい跳ねだしの住宅となる。果たしてどんな作り方になるのか、どこに頼めば良いのか。そんな思いでネット検索をした結果、同じような事例(三鷹の家、千駄木の狭小住宅、代々木の二世帯住宅、浅草橋の長屋）をいくつか手がけた私たちの事務所が相談を受けることになり、最終的に依頼を受けることとなった。

１階は敷地の南側に２台の車が縦列に駐車できるスペースをとり、残りの北側を居住空間として、東に二つ西に一つ寝室を設け、中央に螺旋階段を設けた。

２階は南の駐車場の上に一間ほど跳ね出すことで、大きさを確保してLDKとバルコニーを一体の空間として計画した。浴室などの水回りは北東のコーナーにコンパクトにまとめた。２階は北側斜線の影響を受けるが、その中でおおらかな空間とすることをコストとのバランスも考慮しながら空間のボリュームの作り方を検討した。

当初は容積率建蔽率を使い切る地上２階の計画であったが、テレワークができるスペースが欲しいということとなり、容積率建蔽率に影響しない地下を設ける計画に変更された。螺旋階段の上にトップライトを設け、地下まで光を落とすことを考えた。

しかし概算を取ると当初予算からの建設費が跳ね上がりが施主予算の許容範囲をこえ、さまざまな減額のための変更を行うことになった。計画の方針は既製品で構成する家づくりへと大きく方向転換することになった。しかし明るさや広がりをもたらすために考えた空間の骨格は残り、快適な住空間は実現できたと思う。

道路側からの夜景。オーバーハングした２階の下に縦列で２台分の駐車場を設けていル。

１階の玄関先に地下から２階までを縦に繋ぐ鉄骨造の螺旋階段がある。

螺旋階段を見上げるとトップライトがあり、玄関と地下まで光を落としている。

２階のLDK。フローリングや木梁は白く染色されている。右手にはバルコニーがある。

RC打ち放しの地下室。