美術館として再生
宮本三郎美術館(仮称)建設提案競技
石川県小松市主催の「宮本三郎美術館(仮称)建設提案競技」への応募案。 2段階の応募案の提出・審査を経て508案の中から最優秀案に選出された。
敷地内には、明治19年に織物倉庫として建設された木造石貼り2階建ての建物が現存しており、 この倉庫を改修・増築して美術館として再生することが要求された。
計画地 | 石川県小松市 |
---|---|
期間 | 1998.11~1999.1 |
設計・監理 | THT Architects TIS 環境エンジニアリング |
その他 | コンペ案掲載雑誌 日経アーキテクチャー1999 4-5 二次審査提出パース制作 大野高志 |
石川県小松市主催の「宮本三郎美術館(仮称)建設提案競技」への応募案。 2段階の応募案の提出・審査を経て508案の中から最優秀案に選出された。
敷地内には、明治19年に織物倉庫として建設された木造石貼り2階建ての建物が現存しており、 この倉庫を改修・増築して美術館として再生することが要求された。
私たちは、既存倉庫の力強い木造架構に着目し、 その架構形式及び架構から導き出される空間を増築部分(新設棟)において新たに展開させることにより、 倉庫のイメージの継承と現代的な表現を獲得することをテーマとした。
新設棟は開放的な中庭をはさみ既存の倉庫と併置させている。 新設棟の架構は倉庫の木造架構のモジュールに合わせて構成し倉庫への共通性をもたせるが、 その扱いは対比的なものとなっている。すなわち倉庫の石貼りの外壁で保護された木造架構に対し、 新設棟では鉄の架構とし、ガラスを用い外部に積極的に表現している。また両者に「インターフェースゾーン」と呼ぶ中間領域を中庭に面して設け、 空間構成にも共通性をもたせた。この呼応関係をもつ空間構成においては、対比的な架構の扱いにより、 歴史と伝統の空間から現代的な空間への質の転換がおこなわれる。このような時の流れを内包する空間構造の展開こそ、 時代と共に変遷する幅広い作風をもつ宮本三郎氏の美術館として相応しく、かつ都市に対し新しいシンボル性を獲得すると考えた。
コンペ後の基本設計及び実施設計段階においては、文化庁及び小松市等との協議により、展示空間の面積増、 アプローチ部分の一部内部化、新設棟における収蔵庫の追加等がおこなわれた。
コンペ,美術館,木造,シンボル,中庭,空間構造