vol.45キッチン2(回遊性があるキッチンは楽しい)

自宅(参宮橋の螺旋住戸)のキッチンの設計の際に大切にしたことの一つは回遊性を作ることです。
キッチンはかってはダイニング奥の閉じた部屋をベースに考えられていました。しかし最近は孤立した空間とすることを避けダイニングの隣に対面型で計画することが多いです。

この対面型キッチンをアイランドキッチンとして作り、回遊性を与えることができればより開放的なキッチンとすることができます。自宅のキッチンのレイアウトにおいては、アイランドキッチンをどのように配置するかを検討しました。今回はキッチンの幅を十分に取るレイアウトが可能でしたので、比較的ゆとりがあるアイランドキッチンを計画することができました。

回遊性があるキッチンはリビング・ダイニングに対して開放性がある楽しい空間を作ることができますが、キッチンスペースが大きくなります。キッチンに対しての建主の考え方により方針が大きく変わるところだと思います。今回はトイレを回る動線があり、二つの回遊性がある動線があることで、LDKが楽しい空間となったと感じています。

もうすぐ現場に入る予定の埼玉の住宅があります。こちらは建主のご意向で対面型のキッチンから回遊性があるキッチンに方向性が変わった事例です。
当初は対面型のキッチンで考えていましたが、建主より、階段と並行なアイランドキッチンを作ることで、キッチンに回遊性を作ることができないかとの要望がでました。一緒にいただいたスケッチはその通りには作ることはできないものでしたが、回遊性をテーマに考え直すことにしました。建主の希望は階段に並行に「シンクがあるアイランドキッチン」「コンロがあるバックカウンター」を並べることでしたが、スペース的に無理であったので、T字型に並べることにしました。アイランドキッチンは3m弱の長さとして、ダイニングテーブルと一体のものとしました。床に段差をつけ、高さ74センチのダイニングテーブルと87センチのキッチンの差を吸収しています。アイランドキッチンの裏に高さを揃えた腰高の収納をました。アイランドキッチン、バックカウンター、収納、いずれの天板もステンレスバイブレーション仕上げとすることにしました。できればダイニングスペース天板は木とした方が使いやすいかと思いました。しかしシンクをレンジ側に移動するレイアウトが難しかったため、水はねが気にならない仕上げとすることにしました。これはこれで個性的なインテリアになると思います。

今回もこのレイアウトを考えた後は、mobilitipoの徳永さんにお任せすることにしています。自宅のキッチンをご覧いただいたこともあり、細かい仕様は似たものになりそうです。

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