「子供の情景」と「ミルク」

岩波ホールへ「子供の情景」を見に行きました。「子供の情景」は若い女性監督がアフガニスタンを、一人の子供の体験にフォーカスすることで描こうとした映画です。何だか沢山賞等をとっているようで、気になったので見に行きました。

お話としてどうもまとまってないような感じがしたのが気になりました。「タリバン」がこの地でおこなってきたことを、示唆するような映像が多々出てくるのですが、これがあまりに直接的で、しかも一方的に「タリバン」=「悪」という監督の価値観が出てくるような印象を受けたのです。

どうも腑に落ちなかったので、パンフレットを買ったところ、一度子供のある日の体験で映画を作りあげたのだけど、「これは自分が作りたい映画ではない」と考え、「タリバン」のシーンを多々加えたとのことでした。映画がまとまっていない印象を受けたのは、後づけされたシーンによるものなのかと思いました。僕は寧ろ、子供の体験ということだけに、集中してそこからアフガニスタンを各々考えるような映画にしたほうが良かったのではないかと思いました。

どうも消化不良だったので、少し時期遅れだけど「ミルク」を見に。今更ここで書くこともないのですが、一人の同性愛者が、仲間のために政治家として立上がり、凶弾に倒れる迄の姿を描いたものです。とても完成度が高い映画で、何年か前に見た「カポーティ」と同じような印象を受けました。

前の記事

「橋本治と内田樹」(筑摩書房)

次の記事

「ディア・ドクター」