「パコと魔法の絵本」
中島監督の「パコと魔法の絵本」を見に行きました。前作の「嫌われ松子の一生」は結構ツボにはまったので、ちょっと期待して。少し事前情報を持ち最初の10分を見れば、おおよそストーリ-が分かる映画。にもかかわらず楽しめたのは、単純なストーリーを扱いながらも「強い映画」であったことであるからだと思いました。最近見た、ファンタジー系の映画では、「パンズラビリンス」が強く印象に残っています。物語がとても重層的で、その物語構造がとても面白い映画でした。「パコ」には、そんな複雑なものは何もありません。原作者が確かクリスマスキャロルのような物語を作りたかったと、いっていたかと思いますが、確かに善悪の観念がはっきりしている「道徳訓話」的な映画です。自分の今迄の価値観を揺さぶり刺激を与えてくれるような映画ではありません。にもかかわらず、この物語に心を揺さぶる強さを与えることができるのは、やはり監督の力量なのかと思いました。