「シュリンキング・ニッポン」と 「スカイ・クロラ」
土曜日、国立新美術館で大野秀敏さんの講演会を聞きにいきました。大野さんは、僕が大学時代・勤務先でお世話になった先生です。最近出された本(シュリンキング・ニッポン -縮小する都市の未来戦略)を交えて、近未来の日本について話してくれました。
高齢化、人口減が明らかになっている、近未来の日本の都市は、いわば熟年期にさしかかったともいえ、これまでの成長期とは違ったあり方が求められています。具体的には、単身世帯の増加、生活基盤の崩壊、働く老人の増加、等が社会現象として顕著になってきます。そんな中で、どのような都市のあり方が考えられるかについて語っていただきました。けして明るい状況とはいえないこの近未来に対して、大野さんは新しい都市のあり方を提案しています。その視点は、暗い現実をしっかりと受け止めながらもポジティブでした。
翌日曜日、押井守監督の映画「スカイ・クロラ」を見に行きました。代理戦争をすることによって、平和が保たれている未来の話です。人というものを掘り下げ、ありえないけど、ひょっとしたらあるかもなと思える未来像を描いています。この監督の近未来を描いた映画はいくつかみたのですが、いずれも、構想がしっかりとして、細かく描き込まれた映画で、いつも強い印象を残します。その印象は、暗くて少しやるせない気持ちにさせられるものですが。
建築家の資質として「ポジティブであること」とある先生から伺った覚えがあります。そんなことを考えさせられた週末でした。