FRP防水は準耐火構造の屋根と考えられるか

代々木の二階建て二世帯住宅は、FRP防水のバルコニーができました。

バルコニーのFRP防水。この上に束立てしてタイルを載せます。

この住宅では屋根を内樋にしていますが、FRP防水を使っています。

代々木の二階建て二世帯住宅は準防火地域に建ちます。
準防火地域の建物の屋根は建築基準法63条に従う必要があり、
・認定をとった工法を採用する。 (DR認定と呼ばれる工法がそれにあたります)
・屋根を不燃材で造るか葺くなどの工法(国土交通省告示1365号)を採用する。
のいずれかを採用する必要があります。FRP防水は不燃材でないので、DR認定で対応しています。

この住宅は準耐火建築物ではないのですが、これから現場が進む千駄木の住宅は準防火地域の3階建て住宅なので、屋根を準耐火構造とした準耐火建築物とする必要があります。
準耐火構造の屋根の規定は建築基準法第2条の7の2に記載されており、
・認定をとった工法を採用する。
・屋根を不燃材で造るか葺くなどの工法(国土交通省告示1355号)を採用する。
のいずれかとする必要があります。
問題は、木造在来工法では認定をとった工法が見当たらないことです。(ツーバイフォーではあるようです。ハウスメーカーの力か?)
私も以前はしかたがなく、FRP防水の上にモルタルを仕上げ「屋根を不燃材で葺く」ということにして確認申請を通したこともあります。

しかしFRP防水の上のモルタルは剥離するとも多いですし、建物が重くなるのでできれば避けたい工法です。

FRP防水が準耐火構造の屋根として使えるかについて、今回改めて調べてみました。

例えば2021年10月においてリンク可能な建築基準法等専用掲示板においては、この件は10年前に議論が行われています。
ここではDR認定で代用できるという主張とNGであるという意見がかわされています。

法的にグレーなゾーンのようですが、最近では明確に基準を示す行政も現れてきました。
例えば2019年作成の葛飾区 都市整備部 建築課の「建築基準法等における取扱い」においては、下地に不燃材料を使いDR認定があれば認めるとあります。

また「大阪市建築基準法取扱い(令和3年4月)」でもFRP防水が準耐火構造の屋根として使えることが記されています。

メーカーの扱いの方も調べてみました。双和化学産業株式会社の「屋根防火についての解釈」には使えるかどうかは主事判断とありますので、調べるより行政や審査機関に聞くしかない話のようです。

私の場合は葛飾の扱いなどをあげ審査機関と協議をして、葛飾と同じ扱いでよいことになりました。

ちなみにメーカーの工法としてFRP防水の上に不燃パネルを載せかけ、準耐火構造とする工法も考えられているようです。
ジョリエース 不燃セラミック仕様
セラ・ミック・ボード

またFRP防水を避け金属板で陸屋根を作り「不燃材で葺く」というころにする工法もあるようです。
プロムナールーフ

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら