広い土間の玄関

今設計中の住宅では、大きな玄関を作ろうと思っています。ホテルのエンドランスロビーのような玄関を作ろうと思っています。吹き抜けがあり明るい空間。植物やテーブルが置いてあり、応接スペースのようにも使える空間。具体的な明快な用途はないのですが、いろんな可能性がある空間。そんな空間を作りたいと考えています。

広い玄関は今までいくつか作ってきました。
成田の二世帯住宅
最初に作ったのは成田の二世帯住宅。ここでは2世帯住宅を東西に並べ2つの住宅の緩衝スペースとして、土間空間を作りました。この土間空間は親世帯の玄関となっています。また子世帯の勝手口となっています。南の庭と北の庭を結ぶスペースでもあり、この住宅の要のスペースです。
床は玄昌石で仕上げ天井は野地板や母屋あらわしとしました。

公園前の家
公園前の家は子ども部屋の前に12帖の土間空間を作りました。修善寺にあさばという旅館があるのですが、そこには人を向かい入れる大きな土間があります。それをイメージしながら設計をしました。土間を取り巻くように広縁がありその奥にいろんな部屋がある構成です。この空間は建具の開閉により、子供室と水回りとリビングに繋がるにぎやかな空間です。普段は子供が縄跳びをしたり 近所の友達と遊ぶスペースとなっているようです。正月にはここで近所の餅つき大会が開かれたそうです。60人ぐらいが来る大きなパーティーが開かれたこともあるようで、その時にも活躍をしたようです。少し残念なのは、玄関扉を引き戸にできなかったこと。公園側にもっと開放的な作り方ができれば、家と外のつながりがこの住宅にもっと豊かさを与えることができたと思っています。

前野町の家
前野町の家は同じように子供室の前に土間があるのですが、広縁的なスペースがありません。最初は上り框を作り玄関ホールにレベル差を与え、上足ゾーンと下足ゾーンにわけていたのですが、どうも玄関ホールがおおらかに見えず施主も私も納得できませんでした。一番最小に提案したのが、最終案のすべてを土間として、上足ゾーンと下足ゾーンはマットなどを起き二次的に規定するという案でしたが、施主にはその生活スタイルで暮らしていけるかどうかの判断がつかなかったようです。最終的には複数案を再度提示して協議をして今の形となりました。
先日写真が送られてきました。今はカラフルなタイルカーペットが敷かれ、お子様が自由に遊べるようにしているとのことでした。

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら