岐阜の建築を見に行きました。(2日目)

2日目の最初は、瞑想の森 市営斎場(2006年 伊東豊雄)に行きました。こちらは見学時間が9時〜9時30分と決められています。また3人以上で行くときは事前予約が必要です。

途中通った鵜飼大橋。僕が勤めていたアプル総合計画事務所がデザイン監修を行なっています。

瞑想の森の外観。ハスの池が前にあります。屋根の形状が独特です。一緒に行った妻はソチミルコのレストランを思い出すと言っていました。

インテリアは屋根から連続した柱が地面に突き刺さるように作られています。幅木が曲面となっているのは、湯から立ち上がって壁ができているような見せ方をしたかったからだと聞いています。
二つ目は可児文化創造センター(2002年 香山壽夫)

外観

内部空間。大きなガレリアを軸とした作り方は、初日に見た長久手文化の家を思い出しました。長久手文化の家は色使いに特徴がありましたが、可児ではだいぶ抑えられた色使いになっています。

事務の方の案内で小ホールも見ることができました。
展示会が開かれていたり、勉強をする学生がいたり、建物は長久手文化の家と同様に市民に活用されていました。建物はとても立派な建物で、少し立派過ぎるとも思いました。
三つ目は花フェスタ記念公園へ。
昔勤めていたアプル総合計画事務所の作品があります。
西ゲート施設(2002年 アプル総合計画事務所)

この建物の基本設計までを担当して、退職しました。緩やかなカーブを描く細長い建物に、飲食物販、トイレ、事務所などの様々な機能が入っています。

建物は写真のように内部空間となっているところもありますが、外部空間のエリアが多いのが特徴です。外部空間となっているところの木の痛み方が気になりました。メンテナンスがほとんどされていないようで、退色やひび割れがそのままになっています。
西ゲート施設の隣には、物販施設という木造の屋外施設があったのですが、仮囲いで覆われていました。ホームページでは、工事中とありました。木部が痛みリフォームでもしているのかもしれません。
花の地球館・花のタワー(1995年 アプル総合計画事務所)


休みのこの時期に、施設や公園に人がほとんどいないのがとても気になりました。完成後に見に行ったときはかなりの人出で賑わっていたのですが。
建物にメンテナンスが行き届かないというのは、そのあたりも関係しているのではないかと考えさせられました。
建物はできた後にどのように使われるか。それもできたすぐ後ではなく、ずっと後の使われ方の姿がとても大事であると改めて思いました。
四つ目はすぐ近くの、道の駅 可児ッテ(2010年)へ

外観。斜めの壁柱が特徴です。

照明器具や壁のリブ材が特徴となったインテリアですが、物販施設の雰囲気の印象の方を強く感じます。
ここから今日最後の建物で、今回の見学ツアーの目玉である、ぎふメディアコスモスへ

見学の前に、近くの植東というお店で昼食。田楽です。
みんなの森 ぎふメディアコスモス(2015年 伊東豊雄)

1階から階段を上がってメインの空間である、2階の図書館に向かいます。

木格子で作られた天井の中に、白い「グローブ」が吊り下げられています。

「グローブ」には天窓が設けられており、明るい空間となっています。また床下空調が「グローブ」に対して設けられており、空調的にも「グローブ」を中心とした快適な状態を作っているとのことでした。グローブの内側と外側で温度環境が違うと聞いた覚えがあるのですが、それは体感的にはよくわかりませんでした。

木格子の天井は岐阜の山々の稜線を意識したものだそうです。

1階の事務室。オープンなカウンターと、開かれた執務空間。

天井の様子。設備関係が木製のルーバーの奥に透けて見えます。

外観。サッシの外側に木が取り付けられていました。現代的な建物なのですが、昔から建っている大きなお寺のようにも感じました。
意匠、構造、設備、そして使われ方、全てが噛み合った素晴らしい建築でした。

著者情報

角倉 剛
角倉 剛
私にとってのデザイン(設計)は問題解決です。どのような解き方をするかに設計の力点を置いているため、スタイル(モダン和風とか北欧風とか)にはこだわりません。
お住まいになる方の好みとか、建てられる場所の環境に相応しいものを作りたいと思っています。住宅は住まわれる方にとって、好きな洋服の延長のようなものであってほしいと考えています。 詳しいプロフィールはこちら